がんのおはなし~副作用対策について~
抗がん剤の副作用対策は、薬剤の効果を高めるうえでも大切です。抗がん剤による吐き気や嘔吐の仕組みが明らかになり、その部位を抑える薬が開発され、吐き気や嘔吐の副作用はずいぶん軽くなりました。水分や栄養分を補う点滴治療を行うため、開始後1週間くらいは入院が必要であった吐き気や嘔吐の頻度が強い抗がん剤でも、現在では外来での治療が可能になりました。
白血球減少に伴う感染症も抗がん剤の副作用として問題となります。白血球の中でも特に好中球が減りやすく、発熱した場合は敗血症など重篤な状態になっていることがあります。この発熱性好中球減少を起こさないようにするには、抗がん剤開始後、4日目くらいのまだ好中球が減っていない時期に『顆粒球コロニー刺激因子』を皮下注射する方法があります。発熱性好中球減少の発生確率が20%を超す場合に推奨されます。
次回は、感染症の予防対策についてお話いたします。
文責:久保田 馨