がんのおはなし ~治療薬について考える(その2)~
がん治療薬について考える前に、がんの本質について考えてみたいと思います。がんは細胞の病気で、正常な細胞に比べて分裂・増殖が盛んです。この特徴に対して作用する薬剤が「抗がん剤」です。第二次世界大戦中に毒ガス用に開発されたナイトロジェン・マスタードの事故で、被害者の白血球が減少したため、白血球同様に分裂増殖が盛んながん細胞にも効果があるのではと考えられて、薬剤の開発が始まりました。
血液のがんである白血病や悪性リンパ腫は抗がん剤の効果が高いのですが、それ以外のタイプでは肺の小細胞がんなどの一部を除き、その効果は限られていました。
副作用については、正常細胞でも分裂増殖が盛んな白血球などの血液細胞、粘膜の上皮細胞、毛根細胞などが障害を受け、白血球減少に伴う感染症や口内炎、下痢、脱毛などを引き起こします。また脳内の嘔吐中枢を刺激する薬剤が多く、悪心・嘔吐などが出てきます。
次回は、これら副作用に関する具体的な対策についてお話いたします。
文責:久保田 馨