花粉と喘息の深~い関係(後編)
前回は、スギ花粉と喘息の関係についてお話しました。
「花粉」といえばスギが有名ですが、3月中旬ごろからはヒノキ花粉も飛び始めます。スギとヒノキは同じ“ヒノキ科”の仲間なので、スギ花粉症の方の多くは、ヒノキの時期にも症状が続きやすいことが知られています。
ヒノキの時期になると、「鼻や目」だけでなく、のどのイガイガ感・気道のかゆみ・咳を訴える方が増える印象があります。これには、ヒノキ花粉の粒子径が小さく気道に入り込みやすいことに加え、条件によって花粉が傷ついて“細かく砕ける(破裂する)”ことが関係しています。
例えば、春の晴れた日には、黄砂やPM2.5の飛散が話題になりますが、これらの粒子によって花粉の表面がこすれて傷つき、花粉そのものが細かく砕けやすくなる「花粉爆発」という現象が知られています。砕けて細かくなった花粉は、目や鼻だけでなくのどや気道の奥まで届きやすくなり、その結果、喘息のある方では気道の炎症が強まり、咳や痰、ゼーゼー、息苦しさが出やすくなります。さらに黄砂やPM2.5そのものも気道を刺激するため、喘息のある方は普段より症状が出やすくなる傾向があります。
また、春は「一雨ごとに暖かくなる」と言われますが、雨の翌日にも注意が必要です。雨の日は花粉が地面に落ちて飛散が減りやすい一方で、水分を含んだ花粉はもろくなり細かく砕けやすくなります。翌日が晴れて風が強い場合、こうした花粉が舞いやすく、のどの違和感や咳が強く出ることがあります。
スギの季節が終わっても油断はできません。4月、5月にのどのかゆみや咳が続く方は、ヒノキ花粉が関係しているかもしれません。一度、専門科を受診してみましょう。喘息の患者さんは、花粉の時期だけ、吸入薬の使い方や量を調整したほうが良い場合があります。気になる症状がある場合には、かかりつけ医に相談してみましょう。
そしてもう一つ、喘息患者さんにおいて大事なのは、鼻の症状です。鼻づまりや鼻水が続くと口呼吸になり、空気が乾いてのどや気道が刺激されやすくなります。その結果、咳が止まりにくくなったり、喘息症状が落ち着きにくくなったりすることがあります。花粉症(鼻)と喘息(気管支)は、別々の病気に見えて、実は同じ「空気の通り道」のトラブルです(one airway one disease)。
春に限らず、鼻の治療もきちんとすることが喘息対策にもなる、という意識が大切です。
〈文責〉清水あゆみ


